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7話



出会ってから一週間。

彼女も僕も、この少し変わった居候生活に慣れてきたようだ。

朝はおはよう、夜はおやすみ。普通の会話を普通にするようになった。

今日も普通におはようの挨拶から始まる。

「おはよう。」

「おはこんばんちわ☆」

ちょっと普通じゃない返事だが気に留めてはいけない。

「あとで僕の部屋に来いよ。この前言ってた僕のマンガコレクションを見せてやる。」

「本当ですか?」

「布教するのも愛する者の務めだからな。」

「じゃあ楽しみにしてますね☆」

今日の予定が決まった。一日マンガ大会だな。

あいつ、アニメのときもそうだったけど夢中になると本当に止まらないからな。

僕も今日は気合を入れてマンガを読むとするか。

朝飯を食べ終えたあと、風呂に入って身を清め、歯を磨いて気持ちを引き締め、

道場破りでもするかのような心構えで僕の部屋に入った。


結局。

本当にひたすらマンガを読むだけの一日になってしまった。

せっかくこんなにかわいい女の子と自分の部屋で二人っきりだというのに、

せっかく母親も出かけていて、家の中は他にだれもいない状態だというのに、

せっかくまさにマンガのようなという形容がぴったりの展開にあるというのに、

僕はマンガを読み続けた。

彼女もマンガを読み続けた。

まあでも、もう彼女は家族みたいなもの――いや、家族だしな。

変な気を起こすほうがおかしいのかもしれない。

マンガを読んで少し心が穏やかになった僕であった。

「なぁ、どのマンガが面白かった?」

「え〜と、火星のお話とか面白かったです☆

 あと、大宰府のお話と、広島のお話も☆」

「なぜそんな場所の名前ばかりで答える・・・。」

ちなみに本編に出ていない地名を彼女が何故しっているかというと、

彼女が読むマンガを見て、横から僕が口をはさんでいたからだ。

名前を挙げられた三つのマンガ、言われて見れば彼女が好きそうな感じだ。

それにしても彼女、お目が高い。

その三つは僕のお気に入りでもあるのだ。

まぁ言ってしまえば僕が持っているマンガだから全部お気に入りといえば違いないのだが。

「火星のやつはアニメも見たろ?どっちがよかった?」

ふと気になったので聞いてみた。

「う〜ん、アニメは声もあるし動くし、でもマンガの絵も素敵で捨てがたいですし・・・」

「ちなみに僕はどっちも好きだ。」

「あ、ずるいっ!」

「ずるくなんかないさ。いいものはいい。素敵なものは素敵、好きなものは好きでいいじゃないか。」

「そう、ですね☆」

マンガを読んだ後だとなんだかちょっと喋ることにも深みが出る僕。

彼女ほどでもないが、僕も影響され易い人間らしい。

「そうだ、今度マンガ喫茶行ってみるか?」

「マンガ喫茶?」

「マンガがいっぱい置いてあって、全部読み放題なんだ。」

「えぇっ!?本当ですかっ?行きたいです、行きたいです、ぜひっ!!☆」

目をきらきらと輝かせる彼女。

見た目どおりの子供らしい表情が僕の心をくすぐる。

いつまでもこのままいられたらいいな。そんな甘い幻想を抱いた。

始めは彼女の存在自体を幻想だとか言ってたくせに、

今では彼女といられることが甘い幻想とは、なんだか不思議な感じだ。

でも、多分そうはいかないのだろう。

詳しいことは知らないが、彼女にも彼女の事情と、彼女の家族がある。

だから、いつの日か別れの日は訪れるのだろう。

その日が来るまでのあいだ、仮初であろうと、彼女の家族でいられたら・・・

そんなことを考え――――――

「どうしたんですかっ?☆」

「うわっ!」

「暗い顔、してますよ?」

「ん、ああ、ごめん。」

「そんな顔をして俯いていたら、周りの幸せみ〜んな見えなくなっちゃいますよ☆」

どこかのマンガにありそうな台詞を僕に言う彼女だった。





20XX/1/7 顔を上げて、幸せを見つめようとする僕と―――


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