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6話
「死ねぇえええええ!!!!」
彼女が包丁を振り回していた。
「死んでしまえぇええ!!!!」
ものっすごい振り回していた。
「お前はもう、死んでいる。」
死ぬどころかぶつ切りになっている。
「中に誰もいませんよ」
人参の中に人はいない。いるとしたら竹の中だ。
「ウルトラ上手に焼けました☆」
それはよかった。
リビングに入ってまず目にしたのが包丁を持って歩く彼女だったときは、
正直なにごとかと思ったが、どうやら今日は母に手ほどきをうけながら
料理に挑戦しているようだ。
傍から見た感じだと料理というよりは
食材と闘っているという表現のほうが正しい気もするが。
彼女の経験値が低すぎるのか、はたまた敵が強すぎるのか、
非常に苦戦しているようだが。
とりあえず、たたきつけるように包丁を振り下ろされているまな板の身にもなってあげてほしい。
そんなことはお構いなしに彼女は次々に食材をぶつ切りにしてゆく。
さっきはあんなにうるさかったのに突然黙ったと思えば、
今度はたまねぎを切って泣いていた。
やれやれ、まったく忙しい奴だ。
「な、泣いてなんかないんだからっ!!」
話術のほうは着々と経験値をあげている彼女だった。
気づけばおいしそうな匂いがしてくる。
人参にたまねぎ、初心者に向いている料理といえば・・・
「全ては愛のターメリック?」
「はらはらハラペーニョ!☆」
分からない人のために日本語訳を入れるならば、
「今日の夕食はカレーですか?」「はい、そうです。」
といったところだろう。
ちなみに英訳すれば
「Today's dinner is curry?」「Yes, it is.」
という感じだ。(僕にだってこのぐらいの英語はできるのさっ!)
これは夕飯が楽しみだ。
彼女を見ていると不安を抱きたくもなるが。
まぁ炊事洗濯家事親父、なんでもござれの母がついているから問題ないだろう。
どうせ僕にできることなんてたかがしれているし、
むしろ邪魔になりかねないからな。
僕は黙ってゲームでもしていよう。
今日の夕食は、いつもより少し早い時間だった。
彼女ががんばって作った初めての料理を早く食べさせたかったのだろう。
正直、食べてみるまでは不安もぬぐいきれなかったが、
いつもとかわらぬ、僕の好きなあの味だった。
「美味しいな。」
そう僕が言うと、彼女は照れくさそうに笑ったが、
多分これは八割くらいは母の功績なのだろう。
だがまぁ彼女も頑張って作ったのだ。すこしぐらい褒めてもバチはあたるまい。
「べ、別にアンタのために作ったんじゃないんだからねっ!☆」
非常にご機嫌だ。
「いやでも本当においしいよ。毎日でも食べたいくらいだ。」
もうちょっとおだててみる。
「そんなに褒めてもなんもね〜ぞコノヤロが!☆」
字面だけ見ると怒ってそうだが、CV:大谷育江で脳内再生して欲しい。
要は嬉しそうってことなんだが。
とにかく美味しいものが食べられて、彼女も機嫌いいみたいだし、よかったよかった。
ただ、彼女のこの知識の吸い込みようはなんなんだ・・・。
ものすごい勢いで日本の文化(主にサブカルチャー)を吸収している気がするが。
そしてすごい影響のされやすさだな。
そのうち日本刀を持って夜中の町を徘徊し出したりしないだろうか。
少し不安になる僕だった。
20XX1/6 カレーは一日置いてからが本番だと思う頃に
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