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2話



昨日の出来事は全て夢だった。

屋根の上に登っている途中で足を滑らせ、

強く頭を打ったため、変な夢を見ていたようだった。

そう信じるのが一番現実的な気がしたが、

幻想的なこの現実は僕をやすやすとは離してくれないようだ。

昨日の衝撃的な出会いから早一日。

彼女という存在に違和感がなくなってきている僕が怖い。

もうここまで来たらいいだろう、現実と向き合おう。

確かに少女が落ちてきたり、その子が美少女だったり、

いきなり居候することになったり、嬉し恥ずかしの展開があったり、

そんなラノベ的展開も嫌いじゃない。むしろ死ぬまでに一度くらい経験したいと思ってたはずだ。

彼女がヒロインなら僕は主人公のはずだ。

主人公は何をしてもヒロインに好意を抱かれるし、主人公は絶対に死なない。

いいじゃないか。最高の待遇だ。

それならば乗ってやろう、そのラノベ的展開に。

僕はそう決意し、すぐそこですやすやと寝息を立てる少女へと近づく。


おっと、少し説明が足りなかっただろうか。

彼女とは昨日の真夜中に出会い、とりあえず部屋へ呼び入れた。

そこまではいいよな?

で、そのあと無駄だとは思いつつも、当たり前で、かつ当然の質問をいくつかしたわけだ。

まぁ、そこは電波ちゃんで不思議ちゃんな彼女のこと、僕はさらに頭を抱えて悩むことになるのだが。

そのまま話続けて朝が来て、昼が来て、夜が来て、寝た。

そんな感じだ。

別に途中から文章書くのが面倒になったわけじゃないからなっ。

面倒というのならコイツとの会話がそもそも面倒なのだから。

こうして金髪美少女と男子高校生とが二人仲良く同じ部屋で寝ているという奇妙な図の出来上がりだ。

ついでに僕と彼女のことも説明しておこう。

まずは僕から。

一般の公立高校に通う、ごく普通の高校三年生。これ以上語る必要のないくらい普通な高校生。ロリコンではない。

趣味や何かについてはそのうち語ることもあると思うから、次の機会にしようか。

そして彼女。

本音を言うと、丸一日話し続けてもほとんどのことが分からなかった。

話の中で分かったのは電波ちゃんで不思議ちゃんだということくらいか。

ちなみに彼女は、とんでもなく美少女だった。

いや、正しく表現するならば、とてつもなく僕の好みだった。

見た目の年齢で言えば、15〜16才くらいだろうか。(彼女に年齢を聞いたらお決まりのように電波が飛んできた。)

ちなみに先に言っておくが、僕はロリコンでは断じてない。

ふわふわした金の髪、くりくりした青い瞳、つやつやした玉の肌、

ぷにぷにした頬(昨日の時点で確認済みだ)、袖に隠れる小さな手の甲。

どこぞの誘拐魔なら即お持ち帰りぃ〜〜♪だ。

まぁ僕は事実お持ち帰りしているわけなのだが。いや、お持ち帰りというよりはデリバリーか。

そんなこんなで今、彼女は僕の部屋で寝ている。

僕は床、彼女はベッド。

ああ、最後にこの家について少し話しておく必要がありそうだ。

マンガやアニメにありがちな、両親がいない、なんてベタな家だったりしない。

幸か不幸か、親は両方健在だ。兄弟は姉が一人。

その姉は今は就職して一人暮らし。つまり実質三人家族の状態で暮らしている。

なんてことない住宅地に、どこにでもあるような木造建築の家。

そんなところで僕は生まれ、育ち、今を過ごしている。


さて、話が長くなってしまったが、僕が彼女にイタズラするところで止まっていたよな。

そこから始めようか。

僕は何食わぬ顔で口笛を吹きながら、抜き足差し足で彼女を起こしに行く。

行く、と言っても僕の部屋はたかだか数歩で渡り切れてしまうような小さな部屋なのだが。

その距離が、遠い。

壁にかけてある時計の秒針の音に等間隔でビクビクしながら、僕はとうとうたどり着いた。

僕はただ、少女を普通に起こすだけだ。なぜこんな後ろめたい気持ちにならなくてはいけないんだ?

イタズラ?なんだそれは。紳士な僕が少女を前にそんなことするわけがないだろ?

道端で少女を見たら声をかける。怪我をしていたら傷口を舐める。そのぐらい常識的な行動の出来る人間だぞ?

紳士な僕が紳士的に起こすだけじゃないか。

読者の君達はちょっとだまっててくれ。いまいいところなんだ。

しかし、何度見ても綺麗な顔だ。食べちゃいたくなるぜ・・・。

おっと、変な発言が増えるとまた誤解されかねないからな。

さっさと起こして、今日以降のこの物語の展開でも話し合うとするか。

僕は地球上最も普及しているといってもいい、誰でも知っている方法で姫を起こした。

ちゅっ☆







三行分くらい意識が飛んだ。

ついでに僕の身体も飛んだ。

そのまま反対側の壁に激突。

おいおい、今僕の体メキッって言ったぞ・・・。

「な、何するんですかぁ〜〜〜っ!!!!!」

意味不明な質問を彼女は投げかけてくる。

僕は当然のごとく返す。

「キス。」

何が不満だったのか、彼女は猛烈に怒っているようだ。

ーーーーーーーーーー

 たたかう
 
⇒はなす
 
 にげる

 アイテム 

ーーーーーーーーーー 

なぜ怒っているのか分からないがとりあえず平和的解決を求めてみる。

「まぁまぁ、落ち着けよ。」

「落ち着けるかぁっ!!」

彼女の突っ込みもノリノリである。

こうなりゃこっちも乗ってやるしかあるまい。

「この世界じゃ常識だぜ」

と少なくとも僕の住む世界の常識ではない常識を持ち出したところ、

「ふざけないでください・・・ッ!!」

予想通りの答えが返ってきた。

彼女の住む空の世界(僕は信じているわけではない)ではキス一つがそんなに大事なことなのだろうか。

とりあえず僕はなだめる。

「よくあることじゃないか。」

「でも、だって、だって・・・」

とうとう彼女は泣き出してしまった。

年下の少女を泣かせてしまった。

紳士な僕の行いも、違う世界から来たという(言い張る)彼女の前ではもしや失礼な行為だったのだろうか。

ならばしかたない、あやまろう。

泣いている少女も愛でられるのが紳士だ。

「ごめんな。」

そういって頭をなでてやる。

ついでにかわいいからほっぺたもぷにぷに。

ゴッ

鈍い音がして、真っ暗になって、・・・





20XX年1月2日 顎の痛みに耐えながら。


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