
このサイトは明後日に向かって全力疾走する、迷走を目的としたサイトです。
14話
正直、言葉も出ない。
いつか来るのかもしれないとは思っていたけれど、
こんな唐突に、こんな突然に、
何の前触れもなく訪れるなんて考えてもみなかった。
繰り返す日々と同じように朝を向かえ、
昨日から続く今日を変わらず過ごす。
「いってきます」と言葉を残して家を出て、
いつもどおりの景色を通り過ぎ、
残り少ない学校生活を消化する。
同じ道を巻き戻すように戻り、
彼女の待つ家に帰る。
“おかえりなさい”
その声が聞きたくて。
「ただいま」
こう僕が口にすれば、決まって彼女が玄関に迎えに来て、
一番の笑顔で僕を癒してくれていた。
だから普段と変わらぬ日常を繰り返すだけの今日も、
昨日と同じように、そのまた昨日と同じように、
彼女は待っていてくれていると思っていた。
しかしどうやら、今日はあの猫のところへ行っているらしい。
その一言がないだけで、どうにもやる気が削がれるものだ。
まあたまには僕の方が待っていてやろうか。
待つのは、嫌いじゃない。
僕はソファーに座ってテレビを眺め始めた。
どれだけ時間がたったろうか。
辺りの家々が灯りを着けはじめ、夜の帳が下りてきたのを感じさせる。
彼女は未だ帰ってこない。
そもそも遠出をするほどこのあたりに詳しいわけでもなく、
長居するほどこのあたりになじんでいる場所もなく、
この時間になっても戻らないのは明らかにおかしい。
まだ心配するほど時計の針は回ってはいなかったが、嫌な予感がした。
僕の胸中を現すかのように遠くで雷鳴が聞こえた。
ただ猫と遊んでいるだけではないか、
ちょっと散歩がてら遠出しているだけではないか、
そしたら道に迷ってしまっただけではないか。
暖かい家で待っているだけの言い訳は頭の中に用意できたが、
それよりも早く僕は自転車にまたがって家の門を飛び出していた。
猫のいた空き地にはいない、
近所の公園にもいない、
駅前のデパートや、先日彼女と買い物に出かけた店々にもいない。
やがて僕の心を映した空から、大粒の涙が降り出した。
もう家に帰っているのではないかという淡い期待を胸に、
一度家に戻ってはみたものの、玄関の先にいた母の顔を見て打ち砕かれた。
不安で一杯の気持ち抱えを、それでもくじけないために僕は走りまわった。
スーパーも探して、
ペットショップも探して、
隣町まで探しに行って、
それでも彼女はいなかった。
そんなの、ないだろ・・・?
お前は突然現れておいて、何も言わずに居なくなっちまうのかっ!?
家に帰ったら「おかえりなさい☆」っていつもの笑顔で迎えてくれよ!
僕は・・・、僕はさよならだって言ってないんだっ!
明日も明後日も、変わらない毎日でかまわない。
だから、どこにも行かないでくれよ・・・。
またお菓子食べながらアニメ見て、
寝転んでマンガ読んで、
ゲームで盛り上がって、
一緒に過ごそうぜ?
僕はそれだけで十分だから・・・。
なあ、もう、会えないのか・・・?
20XX/1/14 Bad End...
次へ